2021年08月19日

作家・坂上弘氏逝く

 6年前、友人に案内され入った三田の小料理店「みの」。マスター(小林さん)は、大学の学部の先輩。隻眼で黒い眼帯をしており、雰囲気のある方でした。お客様に舞台俳優や出版系の方々が来られる店で、法律家を目指していた小林さんでしたが、文学への関心も高く、いつの間にか三田文学の話へ。

 小林さんが「君は、我々の先輩で19歳で芥川賞候補に挙がった坂上弘という作家を知っているか?」と尋ねられた。私はたまたま友人の影響もあり、学生時代に純文学系の雑誌を読んでいたので、「四十年以上前ですが、掲載されていたエッセイか短編小説を読んだことがあります。」と答えた。すると小林さんは、先生はこの店によく来られるという。 
 
 話は日比谷高校の一つ後輩の芥川賞作家庄司薫の話に及び、佳境に入ったとき、「あっ、坂上先生だ!」と小林さんが叫んだ。小林さんは先生に手招きして、カウンターの私の横に座っていただき、坂上先生を真ん中に当時のことや卒業後、民間にお勤めしたころの話を暫し聞かせていただいた。三人で撮らせていただいた写真は、未だに宝物として写真立てに入れ、時々眺めている。偶然にもその翌日、東京国際ブッフェアー展の会場で再びお会いする機会を得た。不思議な縁である。

 今朝の新聞で坂上先生がご逝去されたことを知り、心からご冥福をお祈り申し上げます。合掌。
posted by あうる at 08:41| Comment(0) | 芸術・文化

2021年06月09日

コロナ後、新たな時代へ。

 コロナ禍で再認識させられた様々な問題。働き方改革の中で問われてきた「リアル・ライブ」がいいか、「デジタル・ネット」がいいかは、ケースバイケースだと思うが、コロナ禍ですっかり定着してしまった「三密」「ソーシャル・ディスタンス」というキーワードは、あらゆる商売(ビジネス)の形態を変えてしまった感もある。中には商売の存在理由まで問われ、苦悶の果てに店仕舞いする経営者(個人事業主に多いと思われる)がおられたり、コロナ後の時代に合ったビジネスとして新たな企業が出現したり、既存の企業の中にもにわかに業績を伸ばしたりするところもあるようだ。
 いずれにしても国の政策として最初に打ち出された「緊急事態宣言」。<不要不急の外出自粛>と<接待に絡む夜の飲食店の営業自粛>については、様々な波紋を引き起こした。自粛生活を促すことは、あらゆる経済活動の停滞を意味する。結果、あっちを立てれば、こっちが立たずの両立が難しいトレードオフの状況を作り出すことになった。
 寄せては返す感染者の増減に翻弄されながら、国は第3波感染者拡大を機に3度目の「緊急事態宣言」を発する。そもそも日本と欧米とは、歴史的な観点から様々な価値観の違いがある。欧米では、芸術・文化・教育・スポーツ等々の文化財的な消費は、生きるうえで必要欠くべからざるものとして受け入れられている。
 日本はコロナ禍のリーダーの発言を聞いている限り、物質的な消費が優先され、芸術文化等々は後回しという基本的な考え方が露呈したようだ。芸術文化等々は、日本のリーダーたちにとって、あくまでの生きるうえで2次的なものなのだろう。
 日本では「生きるためにサッカーは、必要ないんだ!」ということを再認識したと、ある日本代表のサッカー選手は、真顔で且つ、シニカルに言っていたことを思い出す。
 今回のコロナ禍で世界のリーダーが発する国民に対する声明の中で最も注目されたのは、ドイツのメルケル首相のスピーチである。メルケル首相の言葉の中にある「啓蒙の思想」を重視する内容が世界各国から賞賛された。さすがゲーテを生んだ国である。芸術文化等々は、当事者にとって「命」と同じくらい大事なものであるという事実を、我々は今一度、コロナ下での様々な論議から汲み取るらなくてはならないと思うのだが・・・・。
posted by あうる at 09:40| Comment(0) | 芸術・文化

2020年10月13日

筒美京平氏の死

 稀代のヒットメーカーとして知られる筒美京平氏が10月7日に亡くなった。80歳だったそうだ。作曲家としては、V60年代後半から2010年代までの半世紀以上にわたる活動で、作品数は3000を超えるという。
 驚くべきは、そのヒット曲の多さだ。グループサウンドから始まりポップス調の当時としては、新しい曲を数多く手掛けており、日本レコド―ド大賞は「また会う日までと」(阿久悠・詞)と「魅せられて」(阿木燿子・詞)と新時代を代表する曲で、2度大賞を受賞している。
 作曲した作品のリストを見ると、’70年代、’80年代、’90年代の多くの新人歌手や外国人歌手が、氏の手掛けた曲で日の目を見たり、スターになったりしている。そのほとんどは、私が口ずさめる曲である。それだけ人口に膾炙した曲を作っているということだ。
 最近、‘70年代に私がよく聴いて心に残る歌(曲・詞)を口ずさむことが多くなってきたが、当時活躍していた方々は、80歳を超え、残念なことに、ここ数年で亡くなられた方も多い。今を尚、頑張っておられる団塊の世代の活躍は、私にとって大変心強い。コロナがあろうとなかろうと、是非とも創作活動(作曲・詞・唄)をできるだけ長く、続けていただきたい。
 
posted by あうる at 13:24| Comment(0) | 芸術・文化