2019年06月16日

HOPPAの総会をおえて。

 先週、HOPPA(一般社団法人北海道デジタル出版推進協会)の7期目の総会を終え、その後の懇親会は若き出版人の皆さんに参加していただき、活気のある会合となった。
 出版業界は年々厳しいマーケットを強いられているが、反面、出版社、書店、図書館、電子書籍図書館関係者、出版プロデューサー、ライター等々、ジャンルを超えて、文字・活字に関わる方々の横の連携は、ここ数年かなり強固なものとなっているような気がする。
 年々減少している書店数やそれに伴う売り上げ部数の減少、ネット書店の台頭等々により、いい意味で若い出版関係者の中で出版文化崩壊への危機感が共有されてきたのかもしれないと思っている。
 どんなビジネスでも何も手を打たなければ、存在することは難しい。業界関係者が協力し合い知恵を出し合えば、新しいアイディアも生まれ、やがて読者の話題に上り、業界の活気につながって行くと思う。版元が著者とともに良質のコンテンツを生み出し、あらゆる方法を駆使して情報を発信することが大切だと思う。
 21世紀に入り、雑誌(週刊誌・月刊誌・コミックス)等の発行部数が驚異的に減少し、出版業界のビジネスのしくみは、大きく変わり始めたのは周知の事実である。大手印刷会社を取り巻く大量生産の時代の印刷城下町は、20世紀末期のデジタル化の推進とともに過去のものとなってしまった。
 これからの出版業界の新たなビジネスモデルは決して楽観視できないが、黒船来航とまで言われた電子書籍との相乗効果もあいまって、「紙媒体としての出版物の未来は決して暗くない。」と私自身はそう思っている。

 
 
posted by あうる at 20:18| Comment(0) | 印刷・出版

2019年04月29日

スイッチが入った若手出版人たち。

 1994年から開催された東京国際ブックフェア(IBF)は、2016年の23回目を最後に、翌2017年からは中止になってしまった。私自身は出版不況が始まった’98年ころから足繁く通っていたが・・・・。2000年以降、業界そのものが急速に活況を失う。遡れば、’92バブル崩壊後、じわりじわりと表面化してきた日本経済の低迷。そこにきてWindows95〜98の出現が印刷・出版不況に拍車をかけた。
 その後、デジタル技術の発展によるインターネットの普及。紙媒体への影響はドラスティックに浸透。いよいよ2010年に電子書籍元年を迎える。ブックフェアでの版権取引なども減少し、国内外の出版社は出展する意義がなくなった。また、電子書籍側にしても旧来型のブックフェアにわざわざ出展する意味合いはない。というのが東京国際ブックフェア中止の大きな要因であろうと思う。
 それにしても’90年代からウオッチイングしてきた東京国際ブックフェアが中止になったのは、ことのほか寂しい。むしろ最近では、業界の関心はパシフィコ横浜で開催されている「図書総合展」への注目が集まっているようにも思える。今年は一部、札幌で開催される。
 先日、札幌市図書・情報館で行われたセミナー「未来の図書館〜本を語ろう」(北海道デジタル出版推進協会主催)、今朝道新で大きく紹介されていた道内若手出版社の呼びかけによる2度目のトーク・ショウ等々。若手出版人の積極的な発信の場が増え始めた。出版社を支援する図書館、ライター、プロデューサー、書店、マスコミが一丸となって、「地域の出版文化」の存続を危惧する世代が現れ始めた。大変うれしい現象だ。
 同じ活字を扱う印刷会社と比べ、出版社は価格競争をしない。競うべきは、価格ではなくコンテンツであることを知っているからだ。地域の出版社が競争すべき点は、アイデアや良質のコンテンツと本づくりへのたゆまぬ熱意であろうと思う。そして最も大切なのは、地元出版社が地域の文化・歴史的素材を地域の書き手によって、多くの地域の方々に読んでいただくこと、すなわち「地産地消」に尽きると思う。
posted by あうる at 15:17| Comment(0) | 印刷・出版

2019年03月25日

協業(アライアンス)の意義。

 慌ただしく過ぎてゆく3月。計画していたことをほぼ予定通り実行することができた。が、そのほとんどは周囲の方々の協力なくしてなしえなかったと思っている。昔から「籠に乗る人、担ぐ人、そのまた籠を作る人」の習い通り、それぞれの役割分担があってこそ、物事は計画通りに進む。
 3月に実施したいくつかのイベント。各社(印刷・出版・IT・官庁関係者等々)の本業もさることながら、私自身かねてからこうあってほしいと考えていたことがある。「コト興し」(イベント)を異業種という垣根を超え、多くの方々とコラボして成し遂げる。そのプロセスにこそ、「コト興し」の意義があると思っている。
 勿論、個々の役割の領域を超えて、思いのほか成果を上げたことは間違いのない事実であるが・・・・。それ以上に人と人とのつながりを通して、新たな交流が生まれる。むしろその副産物のほうがことさら大きい成果だと感じている。ひとり一人には、感謝して余りある。
 仕事がら社内外の多くの方々の支援・協力を肌で感じるビジネスなので、感謝することは日常的に枚挙にいとまはないが、役割の重責に関わらず、協力していただく相手にリスペクトの念を決して忘れてはならないとつくづく実感した。
 
posted by あうる at 10:12| Comment(0) | 印刷・出版