2022年12月02日

振り返る

 先日、飛行機に乗った際に、ちょうど月替わりしたばかりの機内誌12月号を手に取ることができた。私がいつも決まって読むのは、浅田次郎連載の旅のエッセイある。とにかく浅田氏の文章は、ユーモアセンス抜群で面白い。

 今回は、「振り返る人」というタイトルだった。浅田氏が言うに、自分は少年期から青年期は貧しかったので、家庭内での躾や教育を受けた記憶がない。社会に出てから見様見真似で身に着けてきたが、欠陥だらけで成人するにつれ苦労したという。ただ一つだけ、母親に言われたのは、別れの時に男は手を振ってはいけない。ましてや後ろを振り返る等、もってのほかだと教えられたそうだ。

 そんな習慣が身に染み着いてしまったのか、浅田氏は忘れ物が多いという。席を立ったら決して振り返らないので、あらゆるところで置き忘れしてしまう。特にデジタルの時代になり、静から動へと変化するスピード感が違ってきている。浅田氏に限らず、自分もまた、然したる理由もなく追い立てられ、立ち止まって振り返ることもなく、次の行動に移る。

 1日24時間は、今も昔も変わらないのだが・・・・。'90年代後半からデジタル化が長足に進化するにつれ、技術革新など変化の激しいことのたとえとして、「ドックイヤー」(人間の1年が犬の7年に相当する)という言葉が出現した、

 浅田氏に言わせると、時間そのものが変わったのではなく、その中で生きる我々自身が変わったのだという。日々追い立てられている生活している自分を、時にはじっくり振り返ってみることが必要なのであろう。

 個人的には、少しばかり不便の方がいいと思うことが多い。最近、新築のホテルに行くと、チェックインもチェックアウトもすべて自動、フロントの従業員の方は少ない。無人のホテルもあると聞く。DX(デジタルトランスフォーメーション)化が進むと、あらゆる業種、特にサービス業から人の温もりが消える日は、そう遠くはないと思うこともある。不思議な時代になりそうだ。

posted by あうる at 14:34| Comment(0) | ビジネス
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